関川航平、中島吏英、古橋まどか

至るところで 心を集めよ 立っていよ

Past
7月7日(木)- 8月6日(土)
12:00-18:00 日・月・祝 定休

[関連イベント]

・関川航平によるイベント

日時:7 月 23 日(土)/ 30 日(土)/ 8 月 6 日(土) 各日 16:00 より
会場:Yutaka Kikutake Gallery
* 事前予約不要 * 入場制限を行なう場合があります。ご了承ください。

 

・坂田明 × 中島吏英:ライブパフォーマンス「おとになる」
日時:8 月 7 日(日)開場 18:30 / 開演 19:00(終演予定 21:00)

会場:Li-Po(〒 150-0002 東京渋谷区渋谷 3-22-11 サンクスプライムビル 4F-A)

料金:3,500 円+オーダー
定員:30 名(予約優先)
企画:カワイイファクトリー
予約:Li-Po イベント予約フォーム

中島吏英は、Yutaka Kikutake Galleryでの展示最終週となる8月2日〜6日に展示作品が追加される予定です。

 

 

Yutaka Kikutake GalleryとSCAI PIRAMIDEでは、2022年のサマーショーとして「至るところで 心を集めよ 立っていよ」を共同開催いたします

 

本展は、ドイツ系ユダヤ人の詩人パウル・ツェランの詩『刻々』の一節「至るところで 心を集めよ 立っていよ」を展覧会タイトルとして、「アイデンティティの葛藤と獲得」、「不在の存在」、「ここではないどこかを想像する」など、ここ数年、パンデミックや紛争が人々の営みや交流に困難を強いるなかで、あらためて我々ひとりひとりの立っているところを確認し、他者を想像することで知り得る価値観やそこから導かれる社会の多様な在り方、ひいては人間そのものの在り方について省察を試みようとするものです。

 

パフォーマンスやインスタレーションを介して意味の伝達について考察する関川航平は新作《しあわせな日々》において、普段自宅で共に暮らしているイチジクの鉢植えをギャラリーに設え、会期中毎日通い、土の様子を見て、水をやり、その行為の痕跡として同じ一文を壁に記していきます。それは作品の大局としては日々未完の状態でありながら、同時に一日一日を完成させる行為の積み重なりが「今日」のインスタレーションとして結実しています。また関川は、会期後半より毎週土曜日(7月23日、30日、8月6日)に《関川航平によるイベント》を開催し、ここでもまた日々の思考をめぐりながらパフォーマティヴなプレゼンテーションを展開します。関川から放たれるさまざまなエピソードにもとづく言葉や行為は、確かさと不確かさとを往き来し、その揺らぎを帯びながら空間や観客の意識に作用していきます。そして、この「終わりなき思考をつづけること」それ自体が関川の表現であり、我々人間が人間たる所以であることを明らかにしています。

 

音楽と彫刻の融合を試み展示やパフォーマンスを行なう中島吏英は、同じく空間における音の構成に関心を寄せ活動をする川口貴大とのコラボレーションにより、実際のパフォーマンスにも用いているサウンド・オブジェやそれにも満たない日常的な素材が都市のなかで音を奏でる映像作品を展示します。都市や社会に介入し、その環境から影響を受け即興性も伴うその光景は、パフォーマンスともインスタレーションとも呼べるもので、サウンド・オブジェが音を発生する構造そのものが視覚化された彫刻としての造形的な面白みとともに、社会に放り込まれた個の存在とそれをとりまく周辺との共生や共鳴といった関係性についても、私たちに示唆を与えています。会期の最終週(8月2日〜6日)には実際に映像のなかでも使われているサウンド・オブジェを日毎にギャラリーに配置し映像作品から空間へと展示を拡張させていく予定です。

 

身近な事柄や歴史のリサーチを基軸に記憶や行為の痕跡を彫刻やインスタレーションで展開する古橋まどかは、母の死と向き合い2021年から2022年にかけてインスタレーション《焚く、枯ぶ、渡る》を制作しました。自身の体重と同じ重さの土を自宅の庭から掘り起こし焼成したオブジェ、渡り鳥が渡来の途中に休息のためにくわえている小枝のエピソードに着想をえた映像作品、CTスキャンデータから3Dプリンターで再現された自身の骨盤の彫刻、水晶・珊瑚といった時間や記憶の封印や物質の変容のメタファーとしての自然物など、古橋はいくつかのエレメントから構成されるこのインスタレーションで母の弔いとともにそれと向き合う自身の存在の確認や感情の再生を行なっています。今回はギャラリー空間にあわせて、このインスタレーションから不在の存在や見えない存在、変容する物質やその質量、記憶や感情の結晶化など、身体的な感性と彫刻的なアプローチにより導かれた小作品を再構成して展示します。

 

ツェランは『糸の太陽』で「まだ歌える歌がある 人間の 彼方に」と記しました。Yutaka Kikutake Galleryで紹介する3名も、行為や制作の痕跡を手掛かりに、展示空間に完結することなく人々の想像力や思考の先に拡張されていく表現を試みているアーティストたちです。会期中に行なわれるイベントや日毎追加されていく作品により、時間や空間、様式に制限されることなく展示空間全体が思考し動きつづけるような有機的な拡張をしていきます。

 

アーティストについて

 

関川航平

1990年宮城県生まれ。2013年筑波大学芸術専門学群特別カリキュラム版画コース卒業。パフォーマンスやインスタレーションなど様々なアプローチを通じて作品を介して起こる意味の伝達について考察している。

近年の主な個展・グループ展に「あざみ野コンテンポラリーvol.11 関川航平 今日」(横浜市民ギャラリーあざみ野、2020)、「THEY DO NOT UNDERSTAND EACH OTHER」(大館美術館、香港、 2020)、「開館40周年記念展 トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」(国立国際美術館、大阪、2019)など。

作家HP: https://www.sekigawa-kohei.com/

 

中島吏英

1976年神奈川県生まれ。現在、ロンドンを拠点に活動する。日用品とキネティックな仕掛けを組み合わせ、音楽と彫刻の融合を試みる作品で知られ、ヨーロッパを中心に世界各地で展示やパフォーマンスを発表する。即興音楽シーンでの活躍も顕著であり、音と空間をテーマにした実験的イベント「Sculpture」の共同企画者デヴィット・トゥープをはじめ、デヴィット・ カニングハム、チャールズ・ヘイワード、鈴木昭男、坂田明等の多くのミュージシャンと共演する。

作家HP: http://www.rienakajima.com/

 

古橋まどか

1983年長野県生まれ。2010年AAスクールオブアーキテクチャー インターメディエートスクール修了。2013年ロイヤルカレッジオブアート芸術修士課程修了。リサーチを基軸とし、そこから抽出した要素による空間表現を手掛ける。近年の主な展覧会に「焚く、枯ぶ、渡る」(DOMANI plus@愛知 まなざしのありか、2022)、「Narratives of Exchange / Exchange of Narratives」(アルンノス財団、メキシコ·シティ、メキシコ、2018)、「Raw Material, Goods and Human Body」(2017、iCAN、ジョグジャカルタ)、「Il Quarto Stato」(クンストハレ・ブリクシア、イタリア、2015)、「木偶ノ坊節穴」(資生堂ギャラリー、東京、2014および、ヤリワールセン、ロンドン)がある。

作家HP: https://www.madokafuruhashi.com/

 

本展ゲストキュレーター:兼平彦太郎

 

Yutaka Kikutake GalleryとSCAI PIRAMIDEでは展覧会開催期間、営業日時が異なります。

予め両会場の情報をご確認のうえご来場ください。

 

関連展示:

「至るところで 心を集めよ 立っていよ」

ジェームス・リー・バイヤース、潘逸舟、佐々木健、碓井ゆい、アピチャッポン・ウィーラセタクン

会場:SCAI PIRAMIDE (東京都港区六本木6-6-9 3F)

会期:2022年7月21日(木)−9月17日(土) 夏期休廊 8月11日-8月21日

12:00-18:00 日・月・火・水・祝日 休廊

 

関川航平
《今日》2020
横浜市民ギャラリーあざみ野でのパフォーマンス
Photo by Masanobu Nishino

中島吏英
《Cyclic》2018
アイコン・ギャラリー(バーミンガム)でのインスタレーション風景
(c) Stuart Whipps

古橋まどか
《焚く、枯ぶ、渡る》2022
DOMANI plus@愛知「まなざしのありか」での展示風景
撮影|大塚敬太+稲口俊太