小林エリカ

わたしは しなない おんなのこ / Seance

Past
2021年9月28日- 10月23日 *日月祝日 休
12:00-18:00

Yutaka Kikutake Galleryでは、9月28日(火)から10月23日(土)まで、小林エリカの個展「わたしは しなない おんなのこ / Seance」を開催いたします。

 

2019年に開催した当ギャラリーでのはじめての個展「野鳥の森 1F」では、作家が長年にわたってリサーチを重ねてきた原子力エネルギーについて、とりわけ東京電力福島第一原子力発電所における事故後の様相から、原子力エネルギーにまつわるより繊細な記憶に着目した作品を発表しました。2回目の個展となる本展は、小説家・漫画家としても高い評価を得る小林エリカにとって、その創作の動機になったとも言えるアンネ・フランクの “わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること!“ という言葉と、アンネ・フランクと同年の1929年に生まれシャーロキアンであった小林の実父をめぐる作品で構成されます。

 

小林エリカは、これまでも目に見えない物、時間や歴史、家族や記憶、場所の痕跡から着想を得た作品を、小説、漫画、ドローイング、写真、映像、インスタレーションと様々な手法を通じて発表し高い評価を得てきました。2021年には、上記のアンネ・フランクの言葉に着想を得た絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店刊)、また実父の生と死をテーマにした小説『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社刊)を発表する傍ら、弘前れんが倉庫美術館で開催されるグループ展「りんご前線―Hirosaki Encounters」では、弘前の地で出生した実父の人生、そしてその死と死後の記憶の在り方をめぐる新作インスタレーション作品を発表するなど精力的に活動しています。本展では、2021年の小林エリカの活動の幅を紹介するようなドローイング、写真作品が発表されます。

 

(ミラーデザイン協力:漆原悠一(tento)、ミラー制作:澤辺裕加、写真撮影:野川かさね Thanks to Brian Bergstrom)

 

同時開催「りんご前線―Hirosaki Encounters」

会場:弘前れんが倉庫美術館 会期:2021年10月1日(金)-2022年1月30日(土)

*展覧会会期等は変更の可能性があります。詳細は会場ホームページをご確認ください。

 

 

小林エリカは、1978年東京都生まれ。現在、東京にて活動。

目に見えない物、時間や歴史、家族や記憶、場所の痕跡から着想を得た作品を手掛ける。2014年には小説「マダム・キュリーと朝食を」(集英社)で、第27回三島由紀夫賞・第151回芥川龍之介賞にノミネートされ、2019年「トリニティ・トリニティ・トリニティ」(集英社)で、第7回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞。同時に、それらの小説に散りばめられたフィクションとドキュメンタリーの要素が、私的なナラティブと社会のリアリティーの狭間で行き来する光景を追体験するようなインスタレーション作品を国内外で発表する。他の著書には、小説「最後の挨拶 His Last Bow」(講談社)、父とアンネ・フランクの日記をモチーフにした「親愛なるキティーたちへ」、”放射能”の科学史を辿るコミック「光の子ども1-3」(共にリトルモア)。その他にも、はじめての絵本「わたしは しなない おんなのこ」(岩崎書店)、作品集「忘れられないの」(青土社)などがある。

 

近年の主な展覧会に「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」(2019年、国立新美術館)、「His Last Bow」(2019年、Yamamoto Keiko Rochaix,ロンドン)、「更級日記考―女性たちの、想像の部屋」(2019年、市原湖畔美術館、千葉)、「六本木クロッシング2016: 僕の身体、あなたの声」(2016年、森美術館、東京)、The Futureとの「Your Dear Kitty, the book of Memories」(2015年、Lloyd Hotel and JCC、アムステルダム)、 「The Radiants」(2015年、Bortolami Gallery、ニューヨーク)など。

"交霊 娘と父" 2021
Digital c-print
(写真 : 野川かさね)