小左誠一郎

UPO

Past
2020年6月2日(火)- 6月20日(土)
12:00-17:00

*展覧会会期を6月27日(土)まで1週間延長いたします。
*新型コロナウィルス感染症の感染予防・拡散防止のため、営業時間を短縮いたします。また、皆さまとスタッフの安全を最優先に、ギャラリー内の換気および消毒を徹底いたします。ご来場の際は、マスクの着用・ソーシャルディスタンスの確保などにご協力ください。

Yutaka Kikutake Galleryでは、6月2日(土)から小左誠一郎の個展「U P O」を開催いたします。2018年の夏に開催した展覧会から2年ぶり、2回目の個展となる今回は「U P O(Unidentified Painting Object=未確認描画物体)」と小左が名付けた作品群の新作を発表いたします。

 

自分だけが知っていることがある。

清も濁も関係なくそうゆうのが地層のように自分に積もっていくと、図鑑を開いても、インターネット検索しても調べられないことがあるのを知る。挙句に、答えを見つけることよりも "本当のこと" の純度を浴びることにのみ図々しくなっていく。そのようにしてできた絵は、まだ誰も知らない未確認の惑星のように燦然とそこにあるのだろう?
そして、終わることのない永遠に途中のような様子で、そんなことどっちでもいいだろうという顔をしている。 そんな絵のことが俺は大好きで堪らない。

 

小左誠一郎

 

2018年に開催した個展に小左は「谺せよ UPO」と名付けました。そのとき小左は「...思い通りに転がり込もうが、不本意に手が滑ろうが、一つの絵の矛盾や是非、不思議さなどどうでもいいというような顔をしていよう。ただ俺と絵の具で心ゆくまで閃々としよう。俺は光を観るために、たぶん絵は、光そのもので在るために。その谺する得体の知れない絵の具!...」と記し、キャンバスとそこに図像を残す手段である絵の具、そして自身の制作行為との共鳴関係を「谺せよ」という言葉に託していたようです。粗めのキャンバスを用いることで生じる絵筆のタッチやストロークへの不意な抵抗は、絵画面に残された反射的なストロークは小左自身の息遣いを伝えながら、小左が『試合』と呼ぶ作品生成プロセスを生み出し、その結果「谺するなにか」として、絵画を位置づけたといえるでしょう。

 

そして今回は「...答えを見つけることよりも "本当のこと" の純度を浴びることにのみ図々しくなっていく。そのようにしてできた絵...」と記します。絵を通じて何らかの答えを得るのではなく、自身にとっての“本当のこと”があり、それをUnidentified(特定できない)なものとするステートメントは、光と影を感じさせるような絵の具の層の上を、縦横に伸びる筆致と窓のように象られた格子が有機的に結びつきながら動的な印象を与える、閉じることのない絵画の空間そのものを端的に言い表しているようです。

 

 

小左誠一郎は、1985年静岡県生まれ。2011年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了後、絵画を中心に国内外で展覧会を行う。近年の主な展覧会に「NEW VISION SAITAMA迫り出す身体」埼玉県立近代美術館(2016年)、「絵画の在りか」東京オペラシティ・アートギャラリー(2015年))、「SLASH / square」東京オペラシティ・アートギャラリーgallery5(2014年)、「JAPANESE PAINTING NOW!」 Kunstverein Letschebach(2014年)がある。

Seiichiro Osa "UPO" 2020, Oil on canvas, 100 x 75,5 cm

Seiichiro Osa "UPO" 2019, Oil on canvas, 61 x 45.5 cm

Seiichiro Osa "UPO" 2020, Oil on canvas, 40 x 30 cm